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We Can Change 初出はpop n music 17 THE MOVIE Sota Fujimori氏の2ndアルバム「SYNTHESIZED2」からの収録 歌が終わった後(いわゆるアウトロ)にpop nのゲームサイズにはなくフルにある転調がある BASIC MEDIUM HARD Level 2 5 7 Objects 116 262 346 BPM 138 TIME 1 41 Artist Sota Fujimori feat. Kemy Version 初代 +難易度変更有 Version B M H 初代 2 4 6 limelight 2 5 7 動画 +初代 ニコニコ動画 【HARD】 赤サイド SC1066 AAA 攻略 +初代でのコメント HARDは歌合わせではなく2TOP混じりの8分単押しが続く譜面。2TOPの位置をそれなりに覚えないと苦しい。 -- 名無しさん (2010-11-12 15 09 09) HARDは難易度詐欺ぎみ。2top絡みの配置が厳しく、初見ではLv7強と感じてもおかしくないレベル。 -- 名無しさん (2010-11-29 00 19 14) サフリク弱体化といわんばかりに8分に2TOPが続く、初見ではきついので注意 -- 名無しさん (2011-01-04 00 31 09) ほぼ休みなく8分が降ってくる忙しい譜面。他の6に比べるとかなり難しい詐欺譜面 -- 名無しさん (2011-01-06 23 33 37) 赤は意外とSランクでも武器になる。ただし、1戦限定。 -- 名無しさん (2011-05-21 00 27 32) 【HARD】レベル内最多ノーツ。2TOP混じりの配置は普通に難しく、何故ロケテの7から下げたのか本当に理解に苦しむ譜面 -- 名無しさん (2011-06-17 01 58 31) [BASIC]アウトロになると 2TOP連発。初見だと混乱しやすいので注意。 -- 名無しさん (2012-07-04 16 19 50) 【HARD】何でこれ初代の時Lv6だったんだろうか?7どころか8でもいいような・・・初見だと下手な9より難しいくらいだ。 -- 名無しさん (2013-01-24 16 24 54) HARD 7でもかなり難しい。8だと思う 7が大体できる時キケンがずっとついてました… -- 名無しさん (2013-11-17 14 33 03) 名前 コメント ※攻略の際は、文頭に[BASIC] [MEDIUM] [HARD] [SPECIAL] のいずれかを置くと、どの譜面に関する情報かが分かりやすいです。
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謎のアームヘッド組織・ピーマーンの宣戦布告、その尖兵であるロンリーアンドを撃ち破った村井辛太郎は、 突如現れた協力者・アカリを隣に乗せ、愛機のセイントメシアグレイサードと共に当て所なくさまようのだった。 「あああ・・・もう休ませよう」 灰色の機体は広い駐車場に着陸し、簡易駐足場として違法駐足した。 しかしそれを注意する者どころか人っ子一人居ないため、足音の響いた後には不気味な静寂だけが広がった。 辛太郎はようやく一息つき、それから隣を見やった。長らくお目にかかれなかった(正真正銘の)女だ!・・・・・・。 「あ、アカリさんって言った?い、いったい何者なんだ、君は?」 「何者?なんていうか・・・」 「俺はヘブンから来た傭兵でパプリカーンのテロリストでもある御蓮人だ!君もアカリっていうんだから御蓮の人?」 「ううん。あたしはここの、月の人だよ」 「そ、そうなんだ・・・ハッでもそういえばトンドル人の名前は数字だって聞き覚えが」 「えっアッそう、またの名を9129-06-4046」 「それは青汁の電話番号だ!名前は4ケタか8ケタって聞いたぞ!」 「あっエッ、そ、それ以上はこじんじょうほうよ!しつこい!」 辛太郎は目を細め睨む。この少女は適当に合わせて答えているのか?あるいは何か隠している? 「まあ名前はアカリさんね、数字の名前が嫌だってのは分かる。それで、何でグレイサードを操縦できたんだ? しかもロンリーアンドの機体特性から弱点までも知っていた、本人から聞いたようにも言ってたな・・・・・・ やっぱり俺たちの同業者なのか?」 「ええまあ、なんかそういうの」 「じゃあ・・・でも君の機体は?どこの所属?でもトンドルアムヘと喋った?つまりトンドル側?でも何で俺を助け・・・・・・」 「・・・・・・・・・」 思いがけず溜まった疑問を口走ってしまったが、アカリの目が次第に水分で潤うのを見てしまった。 「あああ!なんか触れてはいけない事を聞いたようでごめんなさい!質問攻めする奴ってクズだよな~」 「そうよ!まったくそのとおりよ!」 打って変わった元気な反撃に辛太郎は涙目になった。 「・・・えっと、そう、あたしは少し前までここに住んでた。お母さんと一緒にね」 「お母さん?」 「でも突然いなくなって・・・しばらくしたら街の人たちも何処かへ逃げていったわ。ここにあの、ピーマーンが来たからね。 連中は何かを探してて、その間あたしは一人でずっと隠れてた」 「置いていくなんて!ああいや、何でもない・・・」 「奴らの気配が無くなって、あたしは外に出てきて・・・そして出会ったの!地面に刺さったグレイサード君とね!」 突然表情の明るくなるアカリ。 「彼は話さなかったけど、ひどく困ってるのは分かった。きっとシンタロの事が心配だったのね。 だからあたしは彼をほっとけなくて、その流れであんたを助けたってゆーわけ」 「へえ・・・そんなにうちのグレイサードが好きなの?」 その質問に頬を染めるアカリの仕草を見、辛太郎までも骨抜きとなった。 「これは運命だわ」 「いやあでも人間とアームヘッドじゃあ?しかもコイツは俺の愛機だぞ」 「妬いてるの?」 「妬くの?どどどどっちが誰に?」 目前の美少女が惚れるアムヘの相棒・・・辛太郎は到来する謎の感情に半ば混乱していた。 「ごほっごほん!お母さんが行方不明なのか。色々複雑なんだな。ゴホン! じゃあ一緒に見つけよう。そして俺とグレイサードはヘブンに帰る手段を見つけなきゃならん。 助けを借りようにも他に誰もいない。君も手伝ってくれ」 「いいよ!グレイサード君のためなら」 二人は機体を降り閑散とした街に踏み出した。 目の前には非常灯が不気味に燈る廃マーケット施設があり、停めていたのはそこの駐車場だった。 「とりあえずここが月のどの辺かだけでも知りたいな」 辛太郎が閉ざされたガラス扉と取っ組み合い、虚しく警報だけが響く。 「えっと銃、銃」 荷物入れを漁るがパプリカ型手榴閃光弾、ゲームボーズ、セイギマンDVDなど ズダダダダッ! 咄嗟に伏せた辛太郎の前で砕け散るガラス! 「あっゴメーン」 アカリがグレイサードの指レーザーで撃ち破ったのだ。 辛太郎は何度も振り返り怒りの視線を投げながら店内に侵入する。 まず地図を盗むべく、薄暗い店内を懐中電灯で照らしながら二人は進む。 「ああそうだ、アカリさんのお母さんってどんな人?」 「赤いの」 「君と同じで赤毛なのか」 「それで赤が好きなの」 「服装も赤系というわけか」 「しかも強いの」 「母は強し・・・・・・うん?離れていても感じ取れるほどの戦闘力の持ち主という訳か、そりゃ探しやすそうだ?」 辛太郎はセイギマンシリーズに登場する女幹部を無意味に連想しながら歩みを進める。 特殊部隊めいた動きでガイドブック売り場に到達した。 「あったぞ地図!」「よかったね」 早速床に広げてライトを当てる。 「やべえ全然わかんねえ」 地図には何やら数字がおびただしく羅列されている。 「今いるのはたぶんここだよ」 アカリが指をさす一方、辛太郎も地形から思い出しかつての任務の拠点を見つけた。 「ええと、このマーケットは83252地区店、俺が出てきたロデオ基地は160・・・・・・ おい頭の数字もケタも全然違うじゃねーか!地名もクソ分かり辛い!」 そして当然その距離も想像以上に離れていた。 「あああ・・・・・・シャトルから落ちたから余計遠くに来ちまったんだ・・・・・・ ピーマーンの増援が来るっていうし早めに逃げたいところだが・・・この距離じゃ・・・・・・」 「じゃあどうすんの?」 「ん?他にも宇宙港が幾つかあるな・・・ここの人がそこから逃げたとすれば、まだ望みはあるか?」 「みんなしてヘブンに行っちゃったって?」 「俺はそう願いたいね」 「そんなの・・・・・・」 「・・・あっアカリのお母さんはまだ待ってるんじゃないかな?この街か宇宙港かどっか」 「そうだといいけど」 「まだ待ってくれてる船がないと困る、とりあえず当たってみよう」 辛太郎は地図を丸めリュックに差し込み、売り場を後にした。 特殊部隊めいた動きで下階の食品コーナーに到達した。 「うっ臭うな・・・・・・ナマモノは無理だ」 生鮮コーナーの消費期限は一週間近く前の表記であった。 だが保冷機能は働いているので、冷凍食品コーナーから冷凍テングの最強焼き、宇宙タコわさび、煮スカイフィッシュなどを盗みつつ進んだ。 主食を求め地下をさまよい、ドーナツ型シリアル、おつまみベビーパスターなど僅かな売れ残りを何とか回収した時だった。 「・・・・・・何か言ったか?」 「あたしは何も?」 空耳をしたか、と思った直後、暗闇の奥でガサガサと音が鳴った。 棚に陳列された商品を崩すような音だ。 「お、俺たち以外に、誰かいる・・・・・・!」 「どなたですかー?」 ガタガタッ!バサバサッ! こちらの声に反応するようにして物音は激しくなる。 辛太郎が恐る恐る電灯で周囲を舐めると、僅か一瞬蠢く影が壁に映った。 「ヒッ・・・い、今のは、人間の形じゃないぞ・・・・・・」 「へぇーなんだろ」 ガツガツ!ガツガツ! 乱暴に叩きつけるような音と咀嚼音が等間隔に鳴り響いている。 更に物音が二つに分かれたように感じ、片側が床に対する金属音に変わる。 本能的に危機を感じその方向をライトで射る!瞬間的に反射した鋭い眼光! カシン!カシン!カシン!カシン! 「うわァーッ!?」 それは紛うことなき鋼の足音だ!辛太郎が震える手でリュックを漁る! ようやく拳銃を探し当てる!発砲!狙いは明後日! 『ピギイーッ!』 機械音声的動物的悲鳴と共に響き渡る金属音! 「なんなのよ?」 アカリが辛太郎の手首を掴み、電灯でそれを照らさせる。 果たして床に転がっていたのは、丸みを帯びた殻に身を包んだ奇妙な生物であった。 「かっ回転頭突き生物!」 「子供のボロックだわ」 回転頭突き生物(通称ボロック)とはトンドルの月に住まう原始的生物だ。 有機的甲殻や機械的内部機構で構成されたそれは、一説にはトンドルのあらゆる生命(人間からアームヘッドに至るまで)の先祖であるとも言われている。 丸い体を持つ二足歩行、二・三頭身というほど巨大な頭を持ち、これによる頭突きを攻撃など様々な用途に使う。 また最大の特徴として手足を折りたたみダンゴムシめいた完全な球体への変形機構があり、身を隠す他にそのまま高速回転で移動する点がユニークで知られる。 稀にヘブンに輸出される個体は珍獣として大変人気を誇る一方、この生物を使った暗黒スポーツ競技さえも存在するという。 他にも脳に当たる器官に分離可能な寄生生物が共生するなど様々な特徴があるが詳しくは専門文献を参照(I・サニーレタス著「ボール・オーク全図解」等) 『ピー!ピギッ!』 驚きひっくり返ってじたばたするボロックに、アカリがしゃがみ込み覗く。 「おい気を付けろ!寄生されるぞ!」 「だいじょぶだってば」 恐れる辛太郎をよそにアカリがボロックをつつき、球状形態への変形を促す。 球体となった生物は綺麗に高速後転し引き下がり、距離を取ってから二足歩行に戻る。 「ホントに大丈夫か・・・・・・」 これを合図とするかのように、周囲の闇から鳴る物音が増え、二人を取り囲む。 「うーん、多分」 ガツガツ!ガツガツ! ふと商品棚を照らすと、ボロックが菓子袋の山に連続頭突きを繰り出して貪り食っているのが見えた。 『グルルルル・・・』 「食べ物が欲しいのかも、あたしたちとか」 「それだけは勘弁なんですけど・・・・・・」 にじり寄る小型ボロック群に対し、辛太郎はしゃがんで荷物からホウカーガン(着火用具)を取りだす。 そして先程盗んだテングの最強焼きの切り身を焼く!香ばしい臭いが地下空間を満たし、貪るもの達を魅了する! 「メシアがれ」 焼きテング切り身を床に置いた瞬間殺到するボロック群!その流れに飲まれる辛太郎とアカリ! 「今のうちに逃げるぞ!」 アカリの手を取り逃げる辛太郎であったがコケまくり、グレイサードの元に辿りついた頃にはアカリに引きずられていた。 「・・・・・・ふう、逃げ切ったか」 辛太郎は愛機の足元でマーケット内を振り返る。目を凝らすと、丸い影がぴょこぴょこ揺れるのが見えた。 「なつかれちゃったみたいね」 店内から漏れ出した野良ボロックは、グレイサードを見ると、一定距離で球状になって休眠し、周囲に円を描くように並んだ。 「か、カワイイところあるじゃん」 「この子たち、乱暴だけどホントは臆病だから、こんな街中まで出てくることはないのよ」 「何?じゃあこの街にはもうとことんまで人の気配が無いという訳か。明日からは他を当たろう」 そして二人はグレイサードの機内へと戻った。 「ボロックたちも住処を追い出されてるのかも、あのピーマーンのやつらにね」 「ピーマーンの増援がここに来たらまた追い出される羽目に遭う、俺たちもだ。まあ明日だ明日」 辛太郎とアカリは操縦席を間に挟んで眠りにつき、かくして月の遭難生活1日目が終わりを告げた。 まもなく訪れる2日目。 「ハッ俺生きてる」 ピーマーンに寝込みを襲われる事を危惧していたが、勝手に見張り番にしていた周囲のボロック達にも反応は無く朝は来た。 辛太郎はグレイサードを降り、振り返ってその巨体を見上げる。 「おっ?傷の治りがずいぶんと早いな・・・・・・」 「たぶんあたしが乗ってるのが嬉しいのね!」 アカリも目を覚ましグレイサードのハッチから顔を覗かせた。 「お、おう・・・今日はとりあえず一番近いシャトル港に行くぞ。連中の来る前にな」 セイントメシアグレイサードは突風が巻き上げる小石を弾きながら岩石地帯を駆けていた。 辛太郎はドーナツ型シリアルを半ば流し込む食事をしつつ発射台の座標を目指した。 「荒れてるな・・・なんか急に不安になってきたぞ」 迷いに迷った末、遂に宇宙港の座標ポイントへと辿り着いた。 「・・・・・・ここでいいんだよなあ?」 「あたしに聞かないで」 そこは確かに金属の柱で出来た建造物に、舗装された地面のある、発射台と思しき場所であった。 しかしそれはごく簡易的なものだったようで、その上今では錆崩れてそこら中が石ころに覆われているような有様だ。 「なんてこった、人の気配すら何年も前から無いようだな」 錆びた倉庫の屋根をこじ開けるも、ロケットの類は面影もなくもぬけの殻であった。 「ハズレだったね」 「くそッ!長居してると帰り道も忘れそうだ、帰ろ」 そして辛太郎一行は紆余曲折の末に再びマーケット83252地区店前の駐車場へと戻ってきた。 「なんとか無事に帰れたがこれからどうする・・・・・・うーんうーん」 やがて辛太郎はグレイサードのコンソールをいじりだし、一枚のディスクを挿入した。 「それなに?」 \鉄壁正義!セイギマンメタル!/ セイギマンDVDがコクピット内モニタ全体に映し出される。 「俺の精神統一に必要不可欠な一種の禅なのだ。そしてセメントイシヤもこれを見せると実際動きが良くなる」 \エピソード1!イノーガニックジャスティスエンフォーサー!/ 画面のセイギマンがポーズを決め、辛太郎がポーズを決め、グレイサードがポーズを決める。 「ハハハ、イシヤも台詞に身体が反応して勝手に動いてる」 「へぇーグレイサード君こういうのが好きなんだ」 アカリもしばらくセイギマンに見入り、瞬く間に時間は過ぎていった。 DVDを3枚見終わり夜・・・。 「やはりセイギマンメタルは名作だな・・・はっもうこんな時間か寝るか」 「シンタロ、ちょっと降りて」 唐突にアカリが言う。 「え?なんで?」 「いいからさ」 半ば追い出される形で辛太郎はグレイサードを降り、そしてアカリを見上げた。 「も、もしかして急に恥ずかしくなったのかあ~」 「あたし考えたのよ。今日はね、あたしとグレイサード君が一緒に寝る日! 明日はシンタロとグレイサード君て交代するの。それで文句ないでしょ?」 「文句も何も・・・なんで3人じゃ駄目なんだ?」 「駄目なの!今日はあたしたちの邪魔しないでね、じゃおやすみ」 そしてアカリはグレイサードの中に籠った。 「おい!!おっ俺はどこで寝るんだよ・・・」 狼狽していると休眠状態で丸くなるボロック群が目に入った。 「お~い俺も仲間に」 『キシャアアアアアア』ベシッ ボロックの頭が開きマスク型脳味噌寄生生物が射出され辛太郎の顔面に叩きつけられた。 「ひ、ひどい・・・俺になついた訳じゃなかったのか・・・・・・」 ふと気づけば3日目の朝・・・・・・。 辛太郎は冷たいセメントの上で冷たくなっていたが命に別状は無かった。 「ああくそ、こんな夜は二度と過ごしてなるものか・・・今日こそヘブンに帰るぞ」 顔と全身に貼り付いたマスク型寄生生物を剥がしながら立ち上がり、アカリとグレイサードを叩き起こしに行った。 「そうねあなたはセイギマンー♪」 アカリの口ずさむセイギマンメタルEDをBGMに、辛太郎一向の星間船探しは続いた。 現在通っている場所は、手に入れた地図では海上ということになっていた。 そうトンドルの月では既に各地で海面の蒸発が深刻化しているのだ。 この環境下ではピーマーンなど現れずとも、83252地区が丸ごとヘブンへ退避するのはごく自然な流れであった。 かつて水底だったひび割れた地面に、爪先を擦るようにしてグレイサードは駆ける。 「アカリさんにもセイギマンの魅力が理解できるようだな!」 「まあ、グレイサード君もハマってるし」 「こいつには今まで何作品か見せてきたが一番反応良かったのがメタルなんだよな」 そして辛太郎がDVDを再生し始めた後も、3時間以上この旅は続いた。 \そのメタルヘッド・セイギギアは一度被ると二度と取れんのだ、本当に申し訳ない/ 何度聞いたか分からない博士の台詞を耳にこびりつかせながら進み続けている時だった。 「シンタロ、あれ」 「アアッ!?」 アカリが指さす先には、海のあった頃には島になっていただろう丘があった。 そしてその上には確かに、天にそびえる発射台と立ち並ぶシャトル群が視認できた。 「おお・・・遂に見つけたぞ!我が母星へと続く階段!!」 「ほんとに行っちゃうの?」 「発射台の根元をよく見るんだ!人が並んでる、あれは民族大移動だ!きっとアカリのお母さんもいるさ」 「いえ、あそこには・・・・・・いないわ」 「分かるものか!いなくともきっとヘブンで会える!今はとにかく行くぞッ!!」 テンションの上がる辛太郎に応えてブーストするグレイサード!いざ故郷へ! \残念だったな!ここから先は通さないぜ/ 裏腹にセイギマンDVDからは不吉な台詞が流れる。 ズドドドッ!!!! その銃声は映像からのものではなかった!グレイサードの目前を銃弾が抉り、砂煙の壁を立てる! 「ぐおっ!おっ、おい!一体誰だ!何しやがる!?」 取り乱す辛太郎の前の煙が晴れ、降り立った影が浮かぶ。 「ここから先は通さないぜ?」 果たして立ちはだかったのは2機のアームヘッドであった。 轟天重工のアームヘッド・グラブガンに、アプルーエ国家独自の量産型機体・ヨツアシ。 つまり彼らはヘブンから来た、辛太郎と同業の傭兵なのだ。 「俺はロデオ・スターズ所属のシンタロだ!ヘブンに帰りたい!通してくれ!」 「おいこの機体、セメントなんとかとかいうメシアのパチモンの・・・」 「だがシンタロとかいう奴は帰還シャトル襲撃の犠牲者だったはず」 「・・・つまりコイツも連中の操る”宿主”でいいんだな?」 「お、お前たち何を、変な話をしている!?」 焦る辛太郎にアームヘッド達は銃口を向けた。 「へっ騙されるかよ」 「寄生虫とお喋りする趣味ないぜ!」 ヨツアシの重マシンガンが!グラブガンの14連装ミサイルが容赦なく放たれる! 「や、やめろーッ!?」 「きゃーっ!」 ガガガガ!キュッボボボン!! 爆風と閃光がグレイサードを飲み込み激しく揺るがす! 「やめ、やめろ!俺はヘブンに帰るぞ!帰るんだーッ」 グレイサードがラックからセメントブレードを引き抜き構える! だがグラブガンとヨツアシの背後、宇宙港の方面からは更なる傭兵アームヘッド群が迫っていた! 彼らはピーマーンのようなトンドル勢力残党から、星間輸送船の出港を守る為に雇われている! この警備の強化は、辛太郎が巻き込まれた襲撃事件に端を発したものだ。 しかし傭兵たち、ヘブンの者から見れば、今の辛太郎はヘブン機に偽装して侵入工作を謀ろうとする敵残党としか思えないのだ。 更なる弾幕が灰メシアに対して雪崩れ込み、反撃を封じつつ蜂の巣にせんと迫る! 「ぐ、グレイサードくん!シンタローッ!」 「だッだめだッ、肩ブースタがやられる前にっ逃げないと・・・クソッ!お前ら、呪ってやるからなー!」 撃ち抜かれながらもグレイサードは、片側推進器を爆発気味に噴射させ転回すると、全速力で逃げだした。 追撃ミサイルの爆発を背に、そして飛び立つシャトルの噴射煙を背に、辛太郎は逃げるしかなかった。 どこまでも駆け続けるセイントメシアグレイサード。追手などはとうに存在しなかった。 「くそっ呪ってやるやつら、呪ってやる」 「しっかりしてよシンタロ!どこ行くの!」 「まだだ、今日はもう一カ所宇宙港を見に行くぞ、俺は今日帰る、諦めてなるものか!」 辛太郎は今までの方向音痴を忘れてしまったかのような勢いで次の目的地へ! 砂嵐が激しく巨岩の並ぶ地形だ。 しかしそこには確かに発射施設らしきものはあった。 それは最初に行った発射台と同じような荒れぶりで、とても安全な飛行は期待出来なそうだったが、 大きく違う点がそこにはあった。 『シュッ、シュッ』 ボクサーめいた息遣いで、肩部から鉄塊の拳を弾きだしているアームヘッドの姿が見える。 そしてその背後には、辛太郎の輸送船を襲撃したラフフィッシュやロンリーアンド達が乗っていたのと同じ、 円筒型で缶ボトルに似た輸送装置・キャニスターが幾つも立ち並んでいた。 ここは紛れもなく、トンドル勢力残党に占領された宇宙港跡だったのだ。 岩陰に隠れたグレイサードは、辛太郎はそれを覗き込んでいた。 「そうだ、アレだ、アレに乗ってシャトルに張り付けば・・・・・・」 「なにいってんのよ!あそこにいるの、トンドルのアームヘッドよ!どうせアイツもピーマーン、待ち伏せされてるわ」 「だが!相手は一体だけだ!」 「シンタロのバカ!グレイサード君がこんなにボロボロなのに・・・相棒だっていうなら、そんな事も考えてあげられないの!?」 アカリの怒りを受けて辛太郎は我に返った。 「ああ、そうだ・・・セメントイシヤは俺の・・・ここで付き合わせて巻き添えにすることも無い。アカリ、君もだな」 それでも辛太郎は単身生身でキャニスターに乗り込む事を考えたが、アカリに腕を掴まれた。 「帰りたいのはわかるけどさ・・・・・・もう少し月(ここ)に・・・・・・いられない?」 やがてグレイサードは静かに岩場を去った。キャニスターの傍、一台の戦車がその方向に振り向いた。 輸送シャトルへ向け、大空へと撃ち出される強襲カプセル群。 グラブガンやヨツアシの傭兵たちは、それらを一つ余さず撃墜せしめていた。 辛太郎が再び83252地区マーケットに帰ってきた頃には、既に夜も深まっていた。 「さ、今日はシンタロとグレイサード君が寝る日だわ」 「あ!俺とアカリさんの日はないの?グレイサードだって一人で寝たい日があるかも?」 「ない」 「あっそっすよね」 「じゃ、おやすみ」 アカリはそう言い残しグレイサードから跳び降りた。 「あっちょっ寒いだろうに・・・・・・変わった娘だ。なあセメントイシヤよ」 アカリは暗がりを歩きながら、子ボロックを拾って抱え撫でていた。 やがて彼女は空に輝く天球を見上げる。 「お母さん・・・・・・貴女はもう帰れたの?」 そして次の朝が来る。 帰郷のチャンスを目前で二度も失った辛太郎の心境は、焦りや怒りを通り越し半ば開き直る段階にあった。 このまま地図の宇宙港を回っても、護衛傭兵か待ち伏せるトンドル残党に出くわし討たれるだけだ。 かといってここに止まっていても、あのロンリーアンドが言い残した通りピーマーンの増援が来るのだろう。 ではどうやってヘブンに生還する?それが思いつくまで、何もせずここでグレイサードの傷を癒し、 ピーマーンとやらが来るならそれを迎え撃って倒し、先のことはそれから考えようという結論に至った。 「そうだ、食糧なら店の中にたっぷりある、DVDも、ゲームボーズもあるし、かわいい女の子もいる、ここは楽園だったのさ・・・ ならいつまででも待っててやる、来いよピーマーン・・・いやヘブンが来い・・・ヘヘッ」 辛太郎は寝ぼけた己の顔を叩き、顔を洗いに行き、保存食で朝食を済ませ、グレイサードの肩ラックの上に座った。 「二人で何してるの?」 グレイサードの足元にアカリが現れ呼びかけた。 「アカリさんこそ一体どこで寝てたんだ、こんな生活続けたらお互い風邪ひくぞ」 「あたしは大丈夫なの。で、これからどうすんの?」 「待つことにした。グレイサードが治ってピーマーンが来るまでな」 「戦う気なんだ・・・グレイサード君に無理させないでよね?あたしも手伝うよ」 「まあ、まだ気楽でいればいいだろう」 そう言いながら辛太郎はリュックを漁って四角い板状機械を取りだす。 「それはなに?」 アカリもグレイサードを登って辛太郎の背後から覗く。 「ゲームボーズだ。月に上がる時に最新ゲーム機を持って来そびれてな、 こっちで探したら20年前ぐらいのモデルしか売ってなかったんだよ」 そしてそれに四角い板状のカセットを差し込む。 「このスペース・センベイダーも10年以上前のソフトだが、今でも遊べるし俺の過酷な傭兵生活を支える相棒だった」 スペース・センベイダーとは、宇宙空間を舞台に、ヘブンに迫る隕石をプラント皇帝を操作して破壊するゲームである。 平面的なグラフィック上では隕石が煎餅にしかみえないのだ。オカルトマニアの間では頁決戦や隕石ディバイン・パニッシュメント接近を予言していたゲームとも囁かれる。 「ぬおっ、ぬおお」ピシュン!ピシュン! 電子音と共に放たれる皇帝の拳が煎餅隕石を次々に粉砕していき、更に隕石の発生頻度が増加していく。 やがて煎餅群が画面を埋め尽くし、撃ち漏らしがヘブンに落下しGAMEOVER 「は?今の当たってたっしょ?これだからバグゲーは」 「ちょっと面白そうじゃん?やらせてよ」 「フッ初心者には難しいぞ?」 アカリが操作する皇帝は拳が連なった剣のように見える凄まじい連射スピードで隕石を全て殲滅し、 やがて画面上部をうろつく邪神をタコ殴りにして辛太郎の10倍のスコアを叩きだした。 「あー楽しかった」 「ア・・・俺の青春の日々が・・・伝説が一瞬にして・・・」 「ちょっとこれ貸しといてくんない?」 「いいけど壊さないでよ」 辛太郎はそう言い残し、単身寂れた街に繰り出した。 「さてどこだ・・・・・・これかもな」 辿り着いた店は通りに面したガラス張りで、内側には何も映らぬ大画面テレビが複数置かれているのが見える。 辛太郎は周囲を見渡し、路地陰でゴミをつつく子供ボロックを発見した。 『ピギギー!』 抱え上げるなり途端に暴れ出したそれを、辛太郎は店の玄関まで持っていき頭突きを繰り出させてガラス扉を破壊した。 「まさにマスターキーだな」 電機店に侵入したものの、この生活ではコンセントの電力供給を必要とする機器はとても使えない。では目的は? 「・・・・・・ああくそ、ここもゲームボーズ止まりだな・・・」 やはりトンドルの一般店ではヘブン娯楽に輸入規制があるらしく旧式ゲームばかりであった。 白黒からカラーのゲームボーズ、カセットはボング、ロバゴリラ、スベルンダー先生、スーゲーマキオ兄弟など 「古さ・・・・・・」 他には独自技術で作られた機器もあるが遊び方がまるで分からず捨て置いた。 「あー勝った!よしッ今の見た?」 アカリがグレイサードの肩ではしゃいでいると辛太郎が上ってきた。 「ああシンタロ、どこ行ってたの?」 「はいよ」 辛太郎が差し出したのは赤いゲームボーズであった。 センベイダーのカセットが差さっており他のソフトもセットで持ってきた。 「あ!あたしの?ありがとー!いいとこあるじゃん、シンタロ!」 好感度がほんの僅かに上がったが、アカリはその後ゲームに熱中していた。 辛太郎も新しくパクってきたソフトを始めるが、ふと無邪気に遊ぶアカリを見て手を止めた。 (このまま俺は、俺たちはここで遊んで暮らしていくだろうか、あるいは・・・・・・) 次の日、その次の日、またその次・・・・・・。 辛太郎は相変わらず保存食を糧に生き延び、時が来るのを待っていた。 セイギマンメタルを二周し、機能心停止グンタム+(クロス)、世紀末聖救世主伝説などを視聴する日々。 あるいはアカリと共にスーゲーマキオ兄弟の攻略とハイスコア取得に明け暮れる日々。 これまでの戦い続きの過酷な生活に比べれば、申し分のない充分な休暇であった。 しかしそれは戦い慣れした身体を堕落させるには充分すぎる時間だった。 「ああ・・・・・・今日もピーマーン来ねえよな」 グレイサードの肩ラックに寝そべる辛太郎。 「来ない方がいいんじゃないの?」 アカリも逆側の肩に座っている。 「確かにそうだが・・・・・・こんなことならこの間に宇宙港を探しておくべきだった」 「あたしはまあ、今日までグレイサード君とシンタロと居られて楽しかったよ。 ・・・・・・もういっそ、このまま、ここで一緒に暮らさない?」 予想外の言葉を聞いて辛太郎はわずかに固まった。 「・・・そっそういう訳にはいかないだろ!食糧だってゲームボーズの電池だっていずれは尽きるんだ。 ヘブンに帰って新作のセイギマンも見たいしパプリカーンの皆のことも気になる。このままじゃダメなんだ! それに君はお母さんを探してたんだろ?」 「あたしは・・・お母さんが向こうに帰れたんなら、別にもう、置いてかれてたっていいと思ってるの・・・。 今はただ、グレイサード君の傍にいられたら・・・・・・あたしには分かる、彼もそう望んでる」 「な?何でそんな事を言う、こいつは今までずっと俺と一緒に戦ってきたんだ。こいつも故郷に帰りたいはずだ」 「どうしてそんな事が解るの!」「そっちこそ!」 グレイサードの頭を間に挟んで口論する二人。 「・・・・・・ならば!」 シンタロがおもむろにゲームボーズを取りだし通信ケーブルを差し込む! 「やるのね?・・・・・・」 アカリもゲームボーズのスペース・センベイダーを起動! 「勝った者がグレイサードを手に入れる。かもしれないしそうじゃないかもしれない」 「その勝負受けて立つ!」 ゲーム画面越しに睨み合う両者! スペース・センベイダー対戦モード! 二人の皇帝が二つのヘブンを背に、宇宙空間を流れ来る隕石を殴り、撃ちあうのだ! これは敵の隕石を押し返す連射力、多数の隕石の挙動を予測する計算力、そして自機のみならず背後の天球を守る気配りが要求される! 上級者同士の対戦では小さな画面に膨大な情報量を詰め込んだ混沌の極みでさながら宇宙戦争の惨禍が幻視さえされるという! 激戦の末、煎餅は辛太郎ヘブンに叩きつけられ画面外に吹き飛ばされた。 「まだだ・・・これは10回戦ルールだ!」 5回戦目、辛太郎皇帝の拳がアカリ皇帝の顔面を直接殴り勝利! 「へぇ・・・やるじゃん!」 20戦目、アカリ皇帝が煎餅を縦に団子状に殴り飛ばし多段ヒットで辛太郎皇帝と辛太郎ヘブンが砕け散る! 「ハァー・・・ハァー・・・次で終わりにしてやる!」 そして30戦目、二人の皇帝の拳が、画面上を流れる全ての煎餅が同時に激突し、眩い光と共に全てが消え去る! 「クッ・・・引き分けか」 「まあそういうことにしてあげるけど」 「・・・・・・とにかく俺はヘブンに帰るのを諦めたくない。だが上手い方法が手に入るまではイシヤとここにいる」 「分かった、解ってる・・・・・・でもその為に、これ以上グレイサード君を酷い目に遭わせるのは止めてよね」 グレイサードの頭を間に挟んで握手する二人。 「しっかし、強いなアカリは・・・とても俺の後輩とは思えないぜ、まるで・・・アイツを思い出す」 「アイツって?」 「俺が傭兵だった時の同僚だ、アイツも俺が教えたくせに人間離れした強さになりやがって! とことん無口だったが任務は完璧にこなす、まあ、大したやつだったよ」 「ふうん?」 「アイツの強さはセンベイダーだけじゃなかった。スイートピーっていうメシアに乗ってた、グレイサードより新型の奴。 それを乗りこなして俺にも太刀打ちできないようなトンドルアムヘを倒しまくってたよ。ヴァーミリオンを倒したのもアイツだったな」 「・・・・・・えっ?・・・・・・」 「うん?」 「ゔ・・・ヴァーミリオン・・・・・・」 「そうだヴァーミリオン、ヘブンから月に送られて暴走した朱いセイントメシア・・・・・・」 辛太郎が言いかけるが、アカリが次第に露わにする、驚愕の表情に気圧された。 「ヴァーミリオンを、倒した?」 「俺たちが雇われた理由の一つがそれだ、ヴァーミリオン討伐任務で送られてきた・・・」 「・・・・・・ど・・・・・・どうして・・・・・・」 「えッ・・・・・・・」 辛太郎は、アカリの声色が悲痛なものに変わっていくのを感じた。 「・・・・・・そんな・・・・・・ひどい、ひどいよ・・・・・・」 「・・・・・・・・・?」 「・・・・・・んな・・・そんなこと・・・それじゃ、あんた達が・・・・・・ッ」 アカリはその目に涙を溜め、やがて背後に振り向くと、グレイサードの肩を飛び降り、街へと駆け出していってしまった。 「お!おい待てッ!?・・・・・・いったいどうしちまったんだ、ヴァーミリオンがなんだって・・・・・・!?」 セイントメシアグレイサードは再び寂れた街の上空を駆けていた。 「セメントイシヤ!アカリが何処に行ったか感じないか!お前も方向音痴かッ」 閑散として陰影の強い無機質な街並みの中に、その影すら捉えることは出来なかった。 しかしこの時彼自身が気づかぬほど徐々に変化が訪れていた。シンタロのシンクロ係数は上昇を始めていた。 まず傾けた操縦桿が固くなったように感じた。それはグレイサード自身が進むべき方向へ修正していることに他ならなかった。 集中が深まるに連れそうした違和感も薄れ、機体は、身体は自然と目指す場所へと向かっていた。 シンタロがゴーストタウンの中に再び降り立つと、身をひそめていたボロック群が蜘蛛の子を散らすように別の陰へと逃げていった。 そしてグレイサードから辛太郎が飛び降りて街路を駆ける。 「アカリ!いるんだろ!」 そこは先日の戦いで廃屋と化した建物の並ぶ地区だ。 瓦礫など遮蔽物が多く散らばり、隠れている者を探すのは簡単ではない。 「アカリーッ!・・・分からないが、俺が悪かった!」 返事は無いが辛太郎は続ける。 「君にとってのヴァーミリオンが、何だったのか俺には想像もつかない!が、とにかく君を傷つけてしまった事を、謝る!」 まだ少し通っている感覚が残る、グレイサードのコアセンサーの余韻を頼りに探す。 「ああ、俺もイシヤも、君を傷つけるようなことは、したくなかった・・・そうだ、これからは君の望んだようにする! 消えてほしいと思ってもらっても構わない、だからもう泣かないでくれ・・・この遭難の旅で、俺たちが参っちまわなかったのは、 君が隣で笑っていたからだ・・・ああそうなんだ、グレイサードは確かに君の傍にいることを望んでる・・・俺も」 辛太郎は崩れた壁の向こう側に語りかける。 「・・・・・・そんな、そんなの・・・分かってるよ・・・あたしは、グレイサード君もシンタロの事も・・・嫌いになんてならないよ・・・だけど」 「アカリ・・・さあ、そんな所で隠れていないで、もう出てきてくれ」 辛太郎が壁の向こうを覗く為、一歩を踏み出す。 「・・・・・・来ないで!」 それは明確な拒絶の一言として見えぬ壁を作った。 「な・・・一体どうしてなんだ!ヴァーミリオンは君の・・・・・・」 しかしその時、アカリは壁の暗がりから立ち上がった。 そして、辛太郎へ向け振り返った。 その表情は悲しみでも怒りでもなく、恐怖と焦燥に満ちた・・・・・・ 「逃げて!!」 彼女の叫びと同時に、突如として轟いたのは、砲声であった。 そうそれは紛れもなく大砲の撃ち出される轟音だった。 辛太郎には幾度か聞き覚えのある、戦車の咆哮であった。 そして無数の砲声が街を丸ごと包むかのように襲い掛かり、 辛太郎を、アカリを、グレイサードを、瓦礫と粉塵の雪崩が飲み込んでいった。 <続> 戻
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地上から見上げる空は、煙灰で常に灰色だった。 この街を訪れるのは誤って迷い込んだ哀れな子羊か、場違いなまでの高級車で時折現れる黒スーツを着た男達くらいのものだった。 掃除など一度もされた事がないような薄汚れた路地を往けば、すれ違うのは薬の売人か客引きの娼婦ばかり。 正義を守るはずの警察官は路地裏で小遣い稼ぎに精を出し、罪は法ではなく彼らへの賄賂の量に応じて裁かれる。 倒れた者を助ける者はなく、一度倒れれば身ぐるみをはがされ死肉までも啄まれるのが定めであり、少し外れた路地裏に死体が転がっていることなど珍しくもない。 太陽は分厚い雲に隠れ、常に暗く闇の中にある、天からも見放されたような暗黒街。 それが彼の故郷だった。 世の中から弾かれた屑どもの辿り着く世界の終着点。 この街はどうしようもなく最低だったが、この街で生きている奴らはそれ以下だった。 誰もかれもがここに辿り着くに足る理由があり、こんな場所でしか生きていけないような傷を持った者ばかりである。 誰もかれもが死んだような眼をしており、皆どこかが欠けて、皆どこかが歪んでいた。 生まれながらに器用だったのか、それとも生きるために磨かれていったのか。 このドン詰まりのドブの底で、彼は誰よりも巧く生きてきた。 臆病であることと盗みの巧さ、そして足の速さがここで生きるための最低条件。 人を貶める狡賢さと、暴力を躊躇わない残虐性が巧く生きるための秘訣だ。 彼は誰よりも死を恐れ、誰よりも残虐であった。 誰からも愛されたことがなく、誰も愛したことがないから、人の痛みが分からずどんな残酷なことだって眉ひとつ動かさずにできたし。 何も失うものがないから、それが罪悪であると知りながらも躊躇わず実行できる。 最低の街の最低の住民。その中でも自分はとびっきりだと少年は己をそう評していた。 どこかで野垂れ死ぬか、女は娼婦に、男はどこぞのマフィアの子飼いとなって使い潰されるか。 この街で生きる子供たちの将来などこの二つに一つだ。 それは少年も例外ではなく、おそらく己もそうなるだろうなと、おぼろげながらに理解していた。 と言うより、それ以外の未来の事など想像する事すらできなかった。 明日生きているかすらわからない、今日を如何にして生き抜くか、それ以外の事など考える余裕のない。 そんな世界で、どうやって将来などという不確かなモノに夢を馳せることができると言うのか。 『ねぇサイパス。私たちが――――』 そんなこの世の果てのような終わった世界で、少女は天真爛漫に太陽のように笑っていた。 少女は正しく聖女だった。 少女が昇ればゴミ山もステージに変わり、点滅する切れかかった街灯も少女を照らすスポットライトに一変する。 何の光もないゴミ溜めの中、光を放つ彼女の周りには自然と人が集まっていく。 彼もまた誘蛾灯に惹かれる羽虫の一匹であった。 『―――――ねぇサイパス。私たちが私たちのまま生きられる。そんな世界があったら素敵だと思わない?』 両腕を羽のように広げて聖女はゴミ溜めで踊るように謳う。 その姿を彼は眩しいと感じた。 生まれて初めて、何かを輝やかしいと感じたのだ。 だから彼も夢を見た。 騙し奪い殺すことしか知らないくせに。 光も届かぬ地の底で、愚かにも太陽に憧れた。 決して穢れず。 決して折れず。 決して変わらない。 目の前の存在がそれこそ太陽のように不変にして不滅の存在であると、少なくともこの時少年はそう信じていた。 無論それは幻想であり。 今になって思えば少女は聖女ではなく。 彼女もここに至るに足る理由があり。 何かが欠け、何かが歪んだ人間だったのだろう。 そんな事も気付かぬまま、愚かな夢を見続けた。 外れた者が外れたまま。 壊れた者が壊れたまま。 誰に利用されるでもなく、あるがままに生きていける。 少女の語る、そんな甘い夢を。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 大地に現れた金色の輝きが周囲を黄金に染め上げ、薙いだ風が黄金の草原を撫でる。 誰しもの目を奪う絢爛な輝きを放つのは、改造人間『黄金の歓喜』ゴールデン・ジョイ。 対するは、その輝きと対照的な闇を纏ったような漆黒の殺し屋サイパス・キルラ。 金色の怪人が朝の散歩でも楽しむような気軽さで歩を踏み出し、黒衣の殺し屋は距離を詰められぬようバックステップを繰り返す。 タン、タンと一定の間隔で銃声が響いた。 後方への細かい跳躍を繰り返しながらも、精密機械の様な精度でサイパスはその全弾を金色の怪人へと直撃させる。 「ハハハハハハハハ。無駄ですよ。そんな玩具が通じるわけないですかぁ」 だが、そんなものは牽制にもならない。 その歩みは緩むことすらなく、悠々と彼我の距離が詰められる。 指先や眼球といった人体の脆い部分に直撃したはずの弾丸は、全てゴールデン・ジョイを包む膜の様な光に弾かれていた。 ハンドガン程度の火力ではこの光の壁を突破することは不可能だろう。 「重火器で私を殺したいんなら、対物ライフルでも持ってきてくださぁいー」 輝く仮面の下でゴールデン・ジョイが嗤う。 だが、そんなことは知らぬとばかりに、サイパスは流れるような速さでリロードを行い銃撃を再開する。 全身を眩い輝きに包まれているため分かりづらいが、彼の鷹の目は捉えていた。 ゴールデン・ジョイの外枠を覆っている光の膜は、その内側、つまり傷口の中までは覆ってはいない。 つまりつけ入る隙があるとしたら、人間体の時に傷づけた傷口部分である。 しかし、その傷口を狙うなどという芸当はサイパスもとっくに試しているし、その程度の狙いを読めない恵理子ではない。 ゴールデン・ジョイは傷口目がけて放たれた弾丸を尽く弾き落としていった。 サイパスの狙いは正確無比であり、それ故狙いがわかっていれば彼女ほどの実力者ならば防ぐのも容易い。 そのサイパスの無駄な足掻きを嘲笑うかのように、すっと右腕を前方に突出す。 [-Spear the Brionac-(貫く光の槍)] 五指それぞれから槍の様な閃光が放たれた。 その速度は正しく光そのものである。 この世界における最速の物理法則を前にして、人間に何の抵抗が出来ようか。 だが、避けた。 サイパスはこの光の槍を、横に跳躍することで回避した。 ヴァイザーほどではないにせよサイパスとて殺気は読めるし、アサシンほどではないにせよ事前動作により動きは読める。 加えて、人生の全てを暗黒街で生きてきた経験がサイパスにはあった。 例え放たれた閃光が光速でも、放たれる前に回避行動はとれる。 と言うより、音速だろうと光速だろうと先読みして回避しなくてはならないという意味では彼にとっては大差ない。 後退をしながら狙ったポイントまで移動していたのか。 サイパスは飛びのいた拍子に落ちたナイフを回収し、それを片手に今度は自ら距離を詰めた。 金色の輝きを漏らす光源へと、如何なる光にも染まらぬ漆黒の闇が迫る。 「おや、遠距離戦で敵わないと分るや近接戦ですか。 確かに先ほどは後れを取りましたが、状況が違うと理解できていないのなら愚かとしか言いようがないですねー」 その愚かな特攻を見て、やれやれと金色の怪人は首を振る。 そして、目の前に迫る常闇の渦に目もくれず、天を見上げ両手を広げて、ゆっくりと目を瞑った。 [-Let there be light-(光あれ)] 瞬間。フラッシュバンの様な強烈な閃光が放たれ、サイパスの目を潰した。 強烈な光を浴びた人間は反射的に身を竦める。それは生物として抗いようのない本能である。 それはサイパスとて例外ではなく、その視界も意識も全てが白に染まり、時が止まったような空白が生まれ、その一瞬状況すらも忘れた。 [-Spear the Brionac-(貫く光の槍)] そうして動きを止めたサイパスの元に、容赦なく五又の光槍が放たれた。 脳、喉、心臓、鳩尾、股間、狙いは全て人体急所。一撃でも喰らえば絶命は必至。 その絶対的な死が放たれるその直前。 何も考えられない光の中で、サイパスの中で湧き上がるモノがあった。 それは恐怖だ。 臆病であることは恥ではない。 死を扱う殺し屋にとって、死を恐れることは必要な素養である。 これこそが、あのヴァイザーに唯一欠けていた要素でもある 止まれば死ぬと、裏の世界で培われた本能が彼の中で煩いまでに告げていた。 だから動く。 それは理性で思考してのモノではない、本能による動きだった。 光に身を竦めるという反射的本能を、死を恐れる原始的本能が凌駕した。 生にしがみつく本能に従い、飛びつくように地面へと転がった。 同時に放たれた閃光が右肩の肉を抉り、左脇腹を貫いた。 痛みが気付けになったのか、空白だった意識が僅かに戻り、その思考をかき集めて転がりながら体勢を建て直す。 そして、立ち上がりながら自身のコンディションを確認する。 右肩は表面の肉が削れただけで動作に問題はない。脇腹もうまく臓器をすり抜けたのか、致命傷には至っていない。 光槍は高熱を帯びていたため、貫かれた傷が焼かれて止血の手間が省けたのは幸いした。 出血多量の心配はなく、運動性能の維持に問題はない。 しかし、光に焼かれた視界は未だ白くぼやけている。回復には後幾分か必要だ。 相手が無駄に目立つ相手なので白んだ視界でもなんとか位置は分るため、戦闘は可能だが、時間稼ぎが必要だろう。 「派手なのは見た目だけだな電球女。この程度では俺は殺せんぞ」 「いやはや、急所を狙ったのは楽に殺して差し上げようと言うこちらの気遣いだったんですけどね。 たかが殺し屋風情にここまで粘られるとは予想外でした。流石にドブネズミは中々しぶとい。」 サイパスの言葉に挑発を返す恵理子。 その程度の言葉で激昂するサイパスでもないが、相手が舌戦に乗ってきたのは僥倖だと言葉を返す。 「ドブネズミだと? 極東の島国でじゃれてるだけの子悪党が頭に乗るな。殺し屋を嘗めるなよ」 「嫌ですねぇ、これだからアメリカ人は。何時まで世界の中心気取ってるんですかぁ? 今や日本はサブカルチャーだけじゃないんですよぉ? 今最高にホットな国がどこだか知らないんですかぁ? 情報遅っれってますねー」 マフィアや殺し屋とはまた違う、世界の裏側。 昨今、どういう訳かそういった異形の者たちが極東に集中し始めている。 その程度の噂はサイパスも風の噂で耳にしている。 「下らんな。化け物どもの小競り合いになど興味はない」 「そうですね。あなたは『組織』にしか興味がない」 「知った口を――――」 「――――知ってますよ。貴方の組織も、もちろん貴方自身の事も」 サイパスの言葉に被せるようにゴールデン・ジョイが言葉を挟む。 だが、サイパスはその言葉をふんと一笑に服した。 同じ世界に生きる最高峰であるアサシンならばともかく。 何の関わりもない、国すら違うそんな相手が己や『組織』の詳細を把握しているとは思えない。 だが、金色の怪物は謳うように語る。 「――――サイパス・キルラ。ミシガン州デトロイト出身のロシア系アメリカ人。 母親は娼婦で父親は不明。母親は貴方が5歳の時に貴方を捨てて客の一人と高跳び。 残された貴方は以降スラムでストリートチルドレンとして育つ」 冷静沈着なサイパスが珍しく目を見開いた。 彼が言葉を失っているのは、その内容が正鵠を射ていたからだろう。 サイパスは自ら過去を語るようなことはしないし、その過去を知る者も今となっては殆どいない。 ましてや生まれや両親の事など、組織の者ですら知らないはずだ。 どこで知ったのかと言う疑問はあるが、問いただしたところで答えはしないだろう。 「何なら高跳びした貴方のお母上の顛末もお話ししましょうか?」 「…………結構だ」 聞かずとも顛末など知っている。 愚かな女はマフィアの下っ端と金を持ち逃げして、翌月にはどこかの川に浮かんだと聞く。 「そうですか。ご理解いただけましたか? 我ら悪党商会の情報力をもってすればこの程度は当たり前の産物なのですよ」 悪党商会は全てを調停するというその在り方から、情報力は他の組織よりも抜きんでている。 彼女がブレイカーズから鞍替えした理由の一つだ。 もっとも、悪党商会の集めた膨大なデータを一つも漏らさず全て記憶しているのは、この近藤・ジョーイ・恵理子くらいのモノだろうが。 「ああ、誤解なきよう一応言っておきますが、別にあなた方の組織を特別深く調べたという訳ではないですよ? わざわざ調べるほどの特別性は見出せませんでしたからねぇ」 特異な点があるとしたら一度吸血鬼に接触した形跡があるがそれだけだ。 その在り方は特殊だが、サイパスの『組織』は超人や怪人がいるわけでもないただの暗殺集団でしかない。 「それがどうした、暗殺者に特別性など必要ない。人を殺す。ただそれだけの能があればそれでいい」 「あるといいですねぇ。これから私に殺される貴方に」 「笑わせるな。死ぬのはお前だ――――」 風切音と共に、視力が回復したサイパスはナイフを投擲した。 投げナイフはダーツのような投擲方法では距離が稼げないため、刃を回転させながら投擲し、距離に応じて回転数を調整するのが基本である。 だが、サイパスはその基本を無視して矢のような軌跡で一直線にナイフを放った。 サイパスの技量ならば、ゴールデン・ジョイの元まで攻撃を届かすことも可能だろう。 だが、弾丸すら通じない相手に、何とか届いた程度の投げナイフが通じるはずもない。 しかしサイパスの攻撃はナイフを投げるだけでは終わらなかった。 腰元から銃を抜き、投擲したナイフの尻を撃ち抜く。 正確に撃ち抜かれたナイフはベクトルを損なうことなくその動きを加速させる。 ロケットの様な勢いで刃が飛来するナイフが、ゴールデン・ジョイの胸の中央やや左寄りに命中した。 だが、それでも刺さらない。 突き立てられた刃はゴールデン・ジョイに届かず、光の膜の前で静止していた。 1ミリに満たぬその膜、『-Right Light Wall-(正しき光の壁)』はそれほどまでに厚い。 だがナイフは接近するための牽制だったのか、サイパスはナイフを投擲すると同時に駆けていた。 光を切り裂く黒き疾風が迫る。 迎え撃つゴールデン・ジョイは確実を期すべく、指を扇状に広げ『貫く光の槍』を構えた。 如何に超人的な身体能力を持つサイパスとはいえ、突撃した状態では放線状に放たれた光速の槍を一息で躱すことなど不可能だ。 [-Spear the Brionac-(貫く光の槍)] 躱す隙間の無い光の雨が降り注ぐ。 その状態でもサイパスは変わらず、ただ前に向かって突き進んだ。 サイパスはこの光の槍をレーザー兵器のようなものだと中りを付けた。 レーザー兵器は雨、雪、霧などと言った悪天候や粉塵や煙のような空気中の異物によって影響を受け、拡散及び吸収される欠点を持つ。 無論これらをすぐに用意することは不可能だが、もう一つレーザー兵器の運用に影響を与える物がある。 「――――――鏡!?」 金色の怪人が驚愕の声を漏らす。 決して曲がらぬはずの一筋の流星が、サイパスが掲げた鏡面に衝突して軌道がそれた。 完全に反射するとまではいかずとも、道を切り開くだけならそれで十分である。 『貫く光の槍』を受けとめた鏡が粉々に砕け散り、降り注ぐ破片を両手で打ち払いながらサイパスが突き進む。 この状態でもう一度『貫く光の槍』を放たれれば、支給品である鏡を失ったサイパスに防ぐ手段はない。 だが、それはないとサイパスは確信している。 何故なら『貫く光の槍』連射性が低い。 連射が出来るのならば、『光あれ』で視界を奪った時に初撃を外した所で、追撃にもう一度放っていれば確実に仕留められたはずだ。 そうしなかったという事は、あの光の槍を放つにはそれなりの間隔が必要という事である。 接近への課題は全てクリアされた。 黄金の輝きの元へ黒衣の死神が辿り着く。 駆け抜けた勢いのまま、サイパスが左腕を振り被る。 近接戦の技量はサイパスが上だ。ここまでくればゴールデン・ジョイの撃退をすり抜け、確実にこの一撃を叩き込むことができるだろう。 だが、近づいたところで『正しき光の壁』による絶対防御は変わらない。 龍次郎ならまだしも、ただの人間が殴りつけた所で、この黄金の怪人に蚊に刺された程度の影響も与えられないだろう。 そんな事はサイパスとて理解している。 そして同時にこの絶対防御の弱点も理解していた。 この絶対防御に弱点があるとするならば、絶対防御であるという点だ。 それを持つが故に、ゴールデン・ジョイは攻撃を躱さない。 結論から言うならば、ゴールデン・ジョイは最初に投げられたナイフを躱すべきだったのだ。 左胸に突き立ったナイフは未だ光の壁の前で静止している。 そのナイフを、全力で駆け抜けた勢いを乗せた掌底で、殴りつけるように押し込んだ。 「――――惜しい、ですね。なかなか面白い発想でしたけど」 だが、その一撃をもってしても刃が進んだのは僅か1ミリ、本体を傷つけるには至らない。 ゴールデン・ジョイの仮面が愉快気に歪む。 未だ彼女にはそれだけの余裕がある。 されど光の壁を押し進む1ミリである。 押し切れると判断したサイパスが地面を蹴った。 宙に跳ぶと同時にギュンと台風のように回転し、光を侵す黒渦が廻る。 その勢いのままハンマーの様に踵が振り下ろされた。 遠心力と全体重を乗せた胴回し回転蹴りがナイフを捉え、ズブリと押し込んだ。 「…………っ!?」 たたらを踏んでゴールデン・ジョイが後退する。 勢いに押され、カランと音を立ててナイフが落ちた。 傷自体はそれほど深くない。 皮膚が破れ肉を僅かに裂いた程度だ、ダメージと呼べるほどのものではない。 だが、『正しき光の壁』の防御を突破されたという事実が驚愕に値する。 サイパスは落ちたナイフを拾い上げ、ブンと振るってその先に付着した血液を払う。 ゴールデン・ジョイの足元に払われた赤い血液が付着する。 「光でよく見えなかったが、なるほど化け物も血は赤いのだな」 「…………ッ。この」 金色の悪魔が悔しげに奥歯を噛む。 あくまで余裕を崩さなかったゴールデン・ジョイが、ここにきて初めて苛立ちを露わにした。 その変化を見逃すサイパスではない。 それを付け入る隙と捉えたのか、先ほどの焼き直しのような動作で再びサイパスがナイフを投げつけ銃口を構えた。 「同じ手が通じるとでも!」 叫ぶゴールデン・ジョイ。 その手中に光が凝縮されてゆく。 [-Counter of Fragarach-(返す光の刃)] 凝縮された光は小さな刃を模った。 ゴールデン・ジョイは確実に相手を討つべく『貫く光の槍』による掃射ではなく、『返す光の刃』で迎え撃つことを選択した。 それは間合いに入った相手に自動で反応し、光速を”超える”速度で切り裂く光の剣。 必中にして必殺。究極のカウンター。 先ほどと同じ手で来れば、確実にサイパスの身は二つに分かれるだろう。 だが、サイパスの構える銃口が僅かにぶれた。 その弾丸の行く先は飛翔するナイフではなかった。 放たれた弾丸はゴールデン・ジョイの左肩にある傷口を正確に撃ち抜いた。 「ッぁ!」 『返す光の刃』はカウンター技であり、間合いの外からの攻撃には発動しない。 それを知っていたわけではないだろうが、サイパスの狙いは最初から傷口の隙一点である。 ナイフによる曲芸など、防御の意識を逸らすための布石に過ぎない。 銃撃を受けゴールデン・ジョイの体勢が崩れる。 その隙を見逃さず、ナイフで抉じ開けた左胸の隙間を狙い撃つ。 狙いは心臓。 ここまで予測してこその布石である。 「グッ……この…………ッ!?」 だが、銃撃を受けたゴールデン・ジョイが傷口を抑えながらも踏みとどまる。 その様子を見てサイパスが舌を打った。 光の膜は突破できたが、膜の下もそれなりに丈夫という事だろう。 少なくとも現在の装備では殺し切るのは難しい程度には。 「いやぁ……驚かされましたね。まさか、生身でここまでやるなんて。ナハト・リッターじゃあるまいし」 そう言って黄金の怪人は自嘲気味に笑う。 いや、特殊な装備ではなくありふれた銃とナイフでゴールデン・ジョーイをここまで追い詰めている辺り、もしかしたらナハト・リッター以上かもしれない。 「仕方ないですねぇ。これは目立つし疲れるから、あまり使いたくなかったんですけどねぇ――――!」 仮面の下の笑みの種類が変わった。 余裕ではなく自嘲でもなく。 戦慄するような攻撃的な笑みに。 [-Unsinkable Golden Sun-(沈まぬ黄金の太陽)] 蜃気楼の様な靄に包まれ空間が歪む。 ゴールデン・ジョイを包む黄金の輝きが膨張を始めた。 世界を染め上げる黄金。 地上に顕現した太陽の如き光にサイパスが目を細める。 だが、単純な光量は先ほどの『光あれ』程ではない。 この程度であれば、戦闘続行は可能だと、サイパスが動き出そうとした瞬間。 「っ!? がはッ……!!」 サイパスの口から赤い鮮血が吐き出された。 光を浴びた皮膚のジュと音を立て焼きつくように黒く焦げる。 後方では光に照らされた木々が枯れ落ちるように尽きてゆく。 この光はただの目眩ましではない。 身を焦がしているのも単純な熱ではない。 サイパスを襲うのは、まるで光そのものが毒素であるような強烈な痛みだ。 その正体は『太陽光』である。 サイパスの身を焦がしたのは熱ではなく、その光に含まれた大量の紫外線だった。 ――――――『黄金の歓喜』ゴールデン・ジョイ。 ブレイカーズ製、惑星型改造人間、No.000(プロトタイプ)。 その象徴(モチーフ)は『太陽』。 自ら光を放つ恒星にして太陽系の王。 惑星系怪人は神話系怪人を元に発展させた第三世代怪人であり。 そのため神話系怪人と惑星系怪人はとかく仲が悪い。 その最大の能力は自身を太陽として地上に顕現する事である。 1000万℃を超える高熱を完全に再現することはできないが。 本来成層圏で吸収されるはずの毒素をダイレクトに照射することができる。 ただその場に居るだけで命が削られる光。 サイパスはその光を遮るように、身に纏っていたコートを盾のように広げた。 「ハハッ! そんな布きれで太陽が防げるとでもぉ!?」 厚手のコートが一瞬で蒸発するように消滅した。 同時に、その後ろにいるはずのサイパスの影も消えていた。 常に撤退を考え、経路を確保しながら戦うのは暗殺の基本である。 視界を遮った一瞬で森の中に逃げ込んだのだろう。 「…………逃げちゃいましたか」 『沈まぬ黄金の太陽』が発動した以上、実質的に接近することは不可能であり、あらゆる攻撃手段は無効化される。 だからと言って、あれだけ殺気をまき散らして薄氷を渡るような戦い方をしておいて、勝ち目が完全になくなったと見るいや否や何の迷いもなく撤退を選ぶだなんて。 その辺の潔さは呆れを通り越して感心してしまう。 [Transformation Out] 変身終了の電子音が響く。 恵理子はそれを追わず、変身体を解除する。 黄金の輝きが徐々に収縮してゆき怪人が人間へと戻っていった。 「ごふっ…………!」 そして人間体に戻った途端、恵理子は血を吐いた。 「……いやぁ、人間体に戻るとちょっときついですねぇ」 怪人体であったからこそ堪え切れたが、サイパスにつけられた傷は浅くはない。 すぐにでも休息に入りたい所なのだが、呑気に休んではいられる状況ではなかった。 『沈まぬ黄金の太陽』はとにかく目立つ。 夜だったら最悪、この程度の会場なら端まで光が届いておかしくない程だ。 もう朝とはいえ、周囲に誰かがいたら確実に気づくだろう。 あれを使用した以上、すぐにでもこの場を離れなくては。 だが、ふと思い直し、動き出そうとした恵理子の足が止まる。 目立ってしまったのなら、むしろそれを利用すべきではないのだろうか? 悪党商会のメンバーならば、あの光を見れば恵理子の存在に気づくだろう。 合流しようとする、その動きを待つのもありだ。 まあ同じく光の正体を知るブレイカーズの二人に気づかれたら面倒ではあるのだが。 「さて、どうしましょうかねー」 【H-5 草原(森の近辺)/午前】 【近藤・ジョーイ・恵理子】 [状態]:疲労(大)、胴体にダメージ(小)、左肩に傷(大)、左胸に傷(大)、右腕に銃創 [装備]:なし [道具]:イングラムの予備弾薬、ランダムアイテム0~3(確認済)、基本支給品一式 [思考] 基本行動方針:悪党商会の理念に従って行動する 1:この場から離れる or 誰かが来るのを待つ 2:正義でも悪でもない参加者を一人殺害し、首輪の爆破を回避する。確実に死亡している死体を発見した場合は保留 3:首輪を外す手段を確保する 4:南の街へ移動してくる参加者を待つ ※改造人間です。詳しい能力、制限に関しては後の書き手さんにお任せします。 ※『イングラムM10(22/32)』『サバイバルナイフ×1』はH-5 草原(森の近辺)に転がっています。 【H-5 森/午前】 【サイパス・キルラ】 [状態]:疲労(中)、火傷(中)、右肩に傷(止血済み)、左脇腹に穴(止血済み) [装備]:S W M10(0/6) [道具]:基本支給品一式、38スペシャル弾×6 [思考・行動] 基本方針 組織のメンバーを除く参加者を殺す 1 この場から離れる 2 亦紅、遠山春奈との決着をつける 3 新田拳正を殺す 4 イヴァンと合流して彼の指示に従う。バラッド、アザレア、ピーターとの合流も視野に入れる。 5 決して油断はしない。全力を以て敵を仕留める。 089.偶然な予定通り 投下順で読む 091.補記 087.悪童死すべし 時系列順で読む 092.Fallen Night Lights 近藤・ジョーイ・恵理子 黄昏時に会いましょう サイパス・キルラ 夢物語
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轟くファンファーレに花火。 輝く太陽を据える空の下、中央政府のケフィーヤ、シャングリラ宮殿前の広場に正装をして一人の男が立っていた。 彼の周囲にはずっと年老いた人々が群がり、死肉に蠢く虫のようにみえる。 男の隣に一人の女性が葡萄酒の入ったグラスを片手にやってきた。 彼女は虫の天敵なようで、虫たちはちらちらと二人を見やりながら少しずつ距離をとっていく。 「ごきげんよう」 青年と少年の境目にいる彼は声をかけられてようやく隣にやってきた女に気付いたらしかった。 旧御蓮軍の軍服に、ベレー帽。左目には眼帯。セミロングの髪は黒い。 「退屈そうだね」 「……あなたは?」 ビー玉のような目で男は女を見つめた。 「レインディアーズの芳田だ。」 ふと、男の脳裏にあの戦いで現れた青い機体がうかぶ。 「今回の戦闘での証人として呼ばれたんだ。本当は彼方が来るはずだったんだが、何が起きるかわからないからね。この恰好も威嚇のためさ」 「かなた……」 「きみのいとこらしいが」 「聞いたことは、あります」 青――白――黒と金。それぞれが交差しあい、消え、落ちてゆく黒と金。男の記憶の中には、ずっと何かが引っかかっているけれど、それが何だったのかすら思い出せなかった。 ――彼が記憶の引き出しを開けようとする手を誰かが掴んでとめて、そっと誰かは手をもったまま、別の何かに興味をむけさせる。 意識の中に誰かがいる事も次の瞬間には忘れて、男はずっと前方の繭を指差した。 「あれ、なんです?」 黒と金色の巨大な繭。 男の目には先ほどからそれが映っていたが、今までたいした興味はなかった。 芳田は自分の顎を撫でながら訝しげな顔で呟く。 「聖戦のために作られたアームヘッドって聞いたな」 「……そう、ですか」 「もう少し近くで見てみようか。きみのものになる機体だ」 男の手を取り、芳田は人を避けながら黒と金の繭の前へにやってきた。 繭の周りには囲うものは何もなく、男は吸い寄せられるように一歩前へ踏み出してその繭に触れる。 《私はお前を知っているぞ》 ――瞬間、繭が花のように咲いた。それは数十枚の翼を持つ鳥だった。 《私はお前を知っている。だが、誰かは知らない》 「……何を言っている?」 これは、鳥の声である。男にしか囀りは聞こえない。 怪訝そうな顔をして男に近づく人々の手を、何かを感じ取って芳田が振り払い、そっと自らの口元に人差し指を立てて傍よせた。 《名無しを知っているか》 「何の話だ」 《夢を見ていた。夢の中でナウ・シンギュラリティはエイジアとお前の間をつなぐ男が居たと。夢の中でそう言っていた。その男は名無しであり不必要な音符であり修正され消え失せ今は無かったこととなっていると、彼女は言っていた》 鳥はだらだらと何かを呟き続けた。 「だから、何の話だ」 《何の話? 私は、今、何を?》 男はいらだちながらかぶりをふった。 「おれが知るわけないだろう」 《お前は、わたしの三番目の主となる》 「は?」 《わたしは、ロウ・バード――》 鳥は翼を収縮させ、死ぬように再び繭へ戻っていく。 《――セイントメシア・ディミニッシュ》 繭は沈黙した。 「霙茲、話は終わったかい」 芳田が笑いながら男へ語りかける。 「あ、はい……」 微笑み、芳田は後ろにいる誰かを顧みた。そこには、車いすを押す一人の女性が居た。 「きみが、空条霙茲か」 女には首から下の右半身がごっそり失われている。 「私は、中央政府軍大佐のマリヤ・エイジア。……左手で失礼」 差し出されたマリヤの左手を、男は握り返した。 「中央政府から、きみにこのセイントメシア・ディミニッシュを献上する」 堅い口調でマリヤは言い、いつの間にかその場は平和的な拍手と解決に流し込まれている。 「……ありがとう、ございます」 男は、なにか喉のつかえを感じた。 「頼みがある。試しに私と一緒に飛んでくれないか」 銀紙を折り曲げたような笑顔。男はそれを見て微笑みかえす。 「……わかりました」 頷いてから顧みると、すでに繭は鳥となり、コックピットが開いていた。 男は車いすを押してマリヤを先にコックピットの後ろへ座らせると、その前方に自分も腰かける。 ハッチが閉まると、男はさも当然のように初めての機体を操作し、浮くように上空へ飛び立った。 「もっと高く、飛んでください」 マリヤが後ろからそう言う。 海岸線がわかるほど高く飛び、気が付けば男の右横にマリヤの顔があった。 するりと男の首にマリヤの左腕が巻き付く。 「おとすの?」 マリヤは応えなかった。 「……ねえ、おれで、こいつに乗ったのは三人目?」 「二人だけよ」 そういうと、マリヤは左腕に力をこめる。 男は抵抗するそぶりさえ見せず、気絶したようにぐったりと脱力した。 マリヤは腕だけで器用に前の座席に行くと、ぐったりしている男の膝の上に座り片手で操縦桿を握る。 空にあるアームヘッドを操作して地面に墜とすには彼女の腕ひとつで十分だった。 「普通、腕一つじゃおちないよね」 「墜とすには一本あれば――」 そう言ってから、マリヤは目を見開いて後ろを振り返る。 平然とした顔で、男が目を開けていた。 「――っな、あなた……」 「マリヤさん、力弱すぎ」 ぐっと半身を軽く起きあげて、男はマリヤの腰に手を回して抱きかかえると、簡単にマリヤは彼の膝の上におさまってしまう。 「離せ」 「いいこいいこ」 男は右手でマリヤの頭を撫でながら左手と右足で器用にアームヘッドを操縦し降下させていった。 「……私のこの身体は、お前らの仲間だったラスターによるものだ」 凄まじい怒気でマリヤは男の顔を睨む。 「復讐ですか」 「そうだ」 男はいまだ茫々と、わかったようなわかってないような顔で頷いていた。 「おれもこないだの戦いで仲間を沢山失いました。だから、代表して貴女に復讐します」 マリヤはあざけるように笑い―― 「やってみ――」 ――瞬間マリヤの両目が大きく見開かれる。 彼女の右耳を、甘噛みしていた。 「なっ、なにやってるんだ!」 「これはふくしゅうです」 もごもごしながら男が言う。 「っく……!」 顔を真っ赤にしながらマリヤは目を閉じた。 「私を辱めるのがお前の復讐だと言うのなら、私は受け入れよう」 「いや、趣味です」 「お前だけは殺す!」 マリヤはじたばたしながらなんとか男の腕から離れようとする。 「そういえば、今どこに住んでるんですか?」 耳から口を離しながら器用に降下を続け、男が言った。 「……軍の女子寮だ。今月いっぱいで辞めるがな」 「じゃあ、一緒に部屋探します?」 律儀に答えたマリヤが抵抗をやめビタッと固まる。 「おれ、これから一年くらい事後処理でケフィーヤに居ないといけなくなって」 「お前はバカなのか?」 「えっ、だめですか。せっかくだし」 わずかな衝撃。セイントメシア・ディミニッシュは地面に着地した。 「まあ、同居は冗談ですけど、何かあったら呼んでください。なにかの縁ですし」 男はメモ紙をとり出すとさらさらと連絡先を書き、マリヤに渡す。 「あっ、復讐はやめてくださいね」 コックピットハッチを開け、明るい光を背に男は笑った。 「じゃあまた」 ぴょんと軽快に、飛び降りる。 マリヤは、深呼吸のようにため息をついた。 ◎◎◎ ケフィーヤの石造りの建物に囲まれた歴史のありそうな路の上を車いすに乗った少女と黒い髪の男が歩いていた。 建物は黒ずんで汚れ、人も少なくどこか寂しさを感じさせる。 船団が次々と旅立ち続ける終末にあっても、中央政府といわれるからにはそれなりに治安は安定している方の街であった。 「奇遇ですね、マリヤさん」 黒髪の男は嘘臭く笑いながら車いすを押す。 「あんたが笑いながら言うと嘘臭いわ」 「笑うのって慣れないんですよ」 「じゃあ笑わなければいいじゃない」 「でも、おれとしては、笑いたい」 車いすに乗った赤毛の女はため息をついた。 彼女の顔を上から眺めて、霙茲は言う。 「マリヤさんに会うと、いつもため息をつかせてる気がします」 「敵に懐かれる側の身にもなりなさいよ」 「敵なの?」 「敵よ」 霙茲はわかったようなわかってないような顔で頷いた。 「どうやったら友達になれますか」 唇を尖らせばつが悪そうに黙るマリヤの右の頬には真新しいガーゼがある。 車とぶつかってこけた彼女を霙茲が助けたのだ。車に乗っていた側も見ていた側も当たり屋が多いので助けることはあまりなかった。 「止めて」 霙茲は素直に言葉に従って止まる。 マリヤは一人、右手についている操縦用のスティックで前へ進み、くるりと半回転して霙茲の顔を見る。 すると、霙茲はその場で正座した。 「……べつにそのままでもいいわよ」 「真剣な話は相手と目を合わせろとアウルが言ってた」 一瞬黙って、マリヤは続ける。 「霙茲。これからつきあいなさい」 「わかった」 「……ねえ」 茫々と、従順に頷く霙茲にばつが悪そうな顔でマリヤが聞いた。 「どうして、私についてくるの」 「そうしないと、いけないような気がして」 マリヤは一瞬黙って、ため息をついたあと呟くように言う。 「私もよ」 ◎◎◎ 「……マリヤ」 世界は、俺がいなかった世界に戻っていく。 こんなことならケフィーヤの街できみと不味いドーナツを食べたあの日に、好きだと言えばよかった。 「消えたくない。なにか、一つでもいい。俺が、存在した、証明を……」 おれの右手を何か羽毛のようなものが掴む。 ――Lu lu lu…… ――Ta ta ta…… ――Do do do…… そして、この世のどこにもいなくなった。
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jubeat ripples 機種:AC 作曲者: 発売元:コナミ 発売年:2009年、2010年(APPEND) 概要 jubeatシリーズ二作目。前作と違い白と明るい緑を基調とし、丸い波紋模様が多く使われている可愛らしいデザインとなった。 収録曲 曲名 作・編曲者 補足 順位 coming true GUHROOVY Vs. L.E.D. 2009年193位 Shining Star Sota Fujimori feat.Nagisa ウィリアム・テル序曲 W.T. Orchestra 恋のメリーゴーランド 森野くま子 Queen’s Paradise NANAKO Russian Snowy Dance Mutsuhiko Izumi 隅田川夏恋歌 seiya-murai feat.ALT ゲームソング369位第3回ゲームソング255位マイナーゲーム21位第2回アーケード47位夏33位夜42位 ECO FIGHTER 入尾信充 SWEET ANGEL 古川もとあき Good-bye Chalon 猫叉Master+ INVISIBLE WORLD SILKY F STARLIT DUST/スティルに捧ぐ Des-ROW + ANT AREA 51 96 eyes 小野秀幸 KONAMI118位 Macuilxochitl Tomosuke ピアノ214位 Theme from jubeat ripples Production B.G.M. lime vision ripples dream caution “C”entry wavelength light waves mode 2 light green limelight green beat thank you ripples jubeat ripples APPEND 追加曲 少年リップルズ 常盤ゆう Lead Me SHOGO スペースカーニバル shooting star コイノチカラ 石阪久美子 ALBIDA DJ YOSHITAKA AIR RAID FROM THA UNDAGROUND GUHROOVY サウンドトラック jubeat ripples ORIGINAL SOUNDTRACK jubeat ripples APPEND SOUNDTRACK
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[部分編集] http //www.nicovideo.jp/watch/sm11989547 投稿者コメント1.コメント2.コメント3.コメント この作品のタグ:CLANNAD パロ 第40回MAD晒しの宴 レビュー欄 OPパロらしいところが良いんじゃないですか、MADらしいMADですね だからこそキャラの当てはめや焦点が定まってない点が気になりました 関係性の話でいえばパロだから仕方ないのかなぁ、と思いつつ 多く出てくる心電図のマークはクラナドに関係性を見い出せないので少し目障りだった 心電図マークではなく団子が跳ねて通り過ぎるとか(←ちょっとこれは高度かもしれませんが) ラストで心電図マークは実は産まれる前の汐の鼓動だったぐらいの強引性があったほうがMADとして映えると思います。 -- 名無しさん (2010-09-11 01 31 24) 名前 コメント CLANNAD パロ 第40回MAD晒しの宴
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ex- 韻踏合組合 ・A.K.A. AMIDA ・ANALOG [ALBUM] 2012 ひとつになるとき AMIDA 2018 ムスヒ 2020 HOLIDAY PEOPLE [SINGLE] 2008 DO THE HIPHOP 2012 いい時間/ゆれる 2014 DEAR SUMMER(EVISBEATS REMIX) 2017 明星 今日は休みだ 2018 夢の続き [WORKS] 2010 HELL ME NATION EP(white) - RUMI HELL ME NATION EP - RUMI 2011 THE VISIONARIES - V.A. 2014 棄てるなどして - 泉まくら 2015 夜風に吹かれて - PUNCH MIGHTY 2016 田我流とカイザーソゼ - 田我流とカイザーソゼ HIT NUMBER(1st press) - おかもとえみ 2018 SCRAPPIN - ロボ宙 2019 HIT NUMBER(2nd press) - おかもとえみ PORTLAND/VIDEO - Kuro gappy - おかもとえみ RIDE ON TIME - 田我流 2020 ストライク! - おかもとえみ
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member Eric Dover guitar, vocal John Corabi guitar, vocal Eric Brittingham bass Troy Patrck Farrel drums LiveLive @ Metro Theatre, Sydney, Australia December 22th 2012 Live Live @ Metro Theatre, Sydney, Australia December 22th 2012 1. Intro 2. Night Songs 3. Love, I Don t Need It Anymore 4. Helter Skelter 5. Beggars And Hangers-on 6. Man In The Moon 7. No Matter What 8. Boy Or A Girl 9. Gipsy Road 10. Driftaway 11. Home Sweet Home 12. Sweet Child O Mine 13. Hooligans Holiday 14. Sin City
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* 更新日:2020/07/21 Tue 14 49 18 タグ一覧 目次 概要 あらすじ 登場人物 エピソード 幕間 ミナ先生のお悩み相談室 関連作品 概要 天才白うさぎが送る鏡の中の花の続編です。 (誰が作って、どんな媒体で、どんなテーマの物語なのか) あらすじ ある時は雨の日に、ある時は森の中で、ある時はオーケストラを聞きながら。出会いは絡み合って、1つの結末に。 天使達は彼女たちを見て何を思うのでしょうか。 登場人物 ✿青空小の皆さん✿ エフィ・ヴィンド 鏡の中の花における事件を乗り越え吹っ切れた少女。 自分の能力をさらに成長させるために対怪異の戦闘やミナ先生の授業をこなしています。 朝倉ミナ 青空小学校の保健医にして本物の魔女。ここ最近の怪異に嫌な予感を覚えており、女児小学生ズの育成を急いでいます。 音羽 初 心優しい性格。1話では突然の雨に困った青陽美桜と名乗る少女に傘を貸し、貸しを作りました。 紫水 龍香 喋るアクセサリー、もといカノープスの力を借り、異形の存在シードゥスと戦う少女。2話においてエフィと共闘し、『楽団』と呼ばれる異形の生命体を蹴散らしました。 成城 こまり 図書委員であり、森の奥深くで大規模な図書館の司書をやっている人外。今回は呼ばれたので登場します。 戸籍ぐらいなら容易に書き換えることができます。 ジャスミンと問答し、彼女に刺激を与えてしまうことに。 ✿不思議な存在✿ 青陽美桜 1話にて雨に困っていた桃色の髪の赤ずきん。見た目は小学校に通っていてもおかしくないように見えるのですが… 『楽団』 2話にてエフィと龍香に蹴散らされた異形の存在たち。 人型の指揮者と楽器とそれを演奏するためだけの身体構造を持った化け物で構成されています。 土星の力を持った異常存在だとか…。 北海道札幌市・宮城県仙台市には指揮者が人間の女性と相違ない『楽団』が現れ、青空町のものとは比較にならない被害をもたらしています。 ジャスミン 緑色の髪をした可憐な女の子。100年こまりの図書館で眠っており、起きるやいなやこまりと問答をしました。 なにかしらの目的を持って「成城まつり」として青空小に転入することに。 エピソード 第1話 Mitigate Monochrome 第2話 Dragon,Damsel and Deity 第3話 Loquacious Librarian 幕間 ミナ先生のお悩み相談室 第1回 カノープスさんのお悩み 関連作品 鏡の中の花
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《立華(たちばな) 奏(かなで)/Kanade Tatibana》 CV 花澤香菜 性別 女 種族 天使(?) 武器 主にハンドソニック 好きなもの 激辛麻婆豆腐、音無 結弦、my song(岩沢) アニメでの立華 かなで 死後の世界にある学校の生徒会長。 戦線のメンバーからは「天使」と呼ばれているが、実際は戦線のメンバーと同じく死んだ人間である。 無口かつ冷静で感情をめったに表さないが、中身は天然ボケ。音無曰く不器用で世間知らずなところがある。(不器用な部分は本人も自覚) 好物は学食の激辛麻婆豆腐。戦線では女子寮の彼女の部屋を「天使エリア」と呼称している。 死後の世界のマテリアルに干渉する事が可能なソフトウェア「ANGEL PLAYER」で特殊能力を作りだしている。 「ガードスキル」がその最たるものであり、その中には「handsonic」などの能力がある。 「ガードスキル」という名称からも伺えるように攻撃意思はなく、戦線メンバーに対しても最初は口頭注意を行い 攻撃された場合に限り実力行使する。そのため戦線メンバーが学園のスポーツ大会や期末試験に参加しても、何食わぬ顔で一緒に参加している。 後に音無の要望で「ANGEL PLAYER」を使用して天使の羽を装備した。 戦線メンバーの中間テスト妨害工作によって全教科0点という成績を取らされ、それが原因で生徒会長を解任させられた。 その後は音無の仲介で戦線メンバーと共に行動するようになり、戦線メンバーとは戦わないよう音無と約束する。 オペレーション「モンスターストリーム」で川の主から戦線メンバーを助ける際 無意識に「harmonics」(自身の分身を作り出す能力)を発動し、攻撃的な分身と分裂した。 後に「absorb」(分身を自身に戻す能力)を使った反動により、大量の冷酷な意識を持った分身が体内に戻ったために意識を失うが オリジナルの意識を持った状態で目を覚ます。戦線メンバーが「満足して消えられる」ように音無と連携し 音無が行動しやすいように、戦線メンバーの敵として生徒会長に復帰する。 生徒会長という「最も消滅しやすい」立場にいたが、死後の世界にやって来た理由が「心臓のドナーにお礼を言う」事であったため 「消滅」せずにいた。 戦線メンバーが満足して「消滅」した後、音無からこの世界に訪れるであろう「不幸な魂」を救済するために共に 死後の世界に留まる事を提案されるがそれを拒み、ドナーである音無に感謝の言葉を述べると同時に彼の手の中で「消滅」した。 TV放映された第13話エピローグでは、かなでの生まれ変わりらしき少女が登場している。 『Angel Beats! The4コマ 僕らの戦線行進曲♪』とキャラクターコメンタリーで中二病であることが判明した。 卒業証書の文字はかなで役の花澤香菜が実際に担当している。 【生前】 心臓を患っており、音無の心臓を移植したことで生き長らえたが、卒業式を前に他界。 心臓移植を受けた経緯や、死因などは不明。 【設定】 両儀式のような戦うヒロインの立ち位置で構想を詰めていたところ、 上がってきた設定画の可愛らしさでキャラの方向性が固まったという。 その後「天使ちゃんマジ天使」と呼ばれ、ファンに愛されるキャラクターに育ったことを喜んでいる。 立華 奏の能力 1、ハンドソニック 最も代表的なガードスキル。手甲剣を出現させる。恐らく防衛機能の第二段階。 幾つかバージョンがあり Ver.2では薄刃の長剣 Ver.3ではトライデント Ver.4は可愛さを目指してか、見た目は鈍器の蓮の花 Ver.5では悪魔のイメージで蛇の牙のような二枚刃(カニ爪)になる。 2、ディストーション 防衛機能第三段階。体表に特殊な力場を発生させ、弾丸や爆風を弾く。 多数の相手が銃撃を始めたり、爆発が起こると使用する。 ただし重い物は弾けないのか、ハンドソニックを併用して防御を行う。 3、ディレイ 恐らくディストーションと対をなす第三段階。ディストーションで対応できない近接戦で使う。 「超高速で移動する」、「相手に現在位置よりも遅い位置にいる奏を認識させる」もしくは「攻撃を受けた瞬間に自分の軸をずらす事で回避しつつ相手の背後に回りこむ」のいずれか。 『ディレイ』の意味合い的には二つ目。何にしろ相手にとってはほぼ瞬間移動。 4、オーバードライブ 防衛機能第一段階。今のところ判明・確定している唯一のパッシブ(常時起動状態)なガードスキル。 厳密な説明・描写はないが、単純に身体能力のブースト機能だと思われる。 なお誤解を招かない様に説明すると、パッシブとはそのままの意味で「常時発動」という訳ではなく 「一定の条件下になると自動で発動する様に常に起動している」という意味で 常に効果が発揮されているのとは違う。とはいえ様子を見ているとその条件はかなり緩いようで 結果的に「常時発動」で間違っていない気はする。 5、ハーモニクス 暴走して色々と問題を引き起こした問題児。 分身する能力で、分身は本体と同等の力を持つ上に、分身の数に制限はない可能性あり。 分身にも人格があるため本体とかけ離れた人格が多いと、解除(還元)した時に精神崩壊の恐れがある。 ある意味ロマンに溢れるハイリスクハイリターンなスキル。 6、アブソープ ハーモニクスの対となるガードスキル。分身を回収し融合する。 奏が分身との対決で使わなかった事、ゆりが「発動条件がわからない」と口にした事から パッシブなスキルの可能性がある。ただ、対決の際は緊急事態だった他 ぶっちゃけ天然ボケな奏が忘れていた可能性があるので真偽はわからない。 結局ゆりが「ハーモニクス使用十秒後に発動」という条件に変更した事で一応解決する。 この時点では明らかにパッシブだが、その後は詳細不明な状態に戻っている。 7、ハウリング 両手のハンドソニックを擦り合わせて発生させる広範囲の音波攻撃。 聴覚と平衡感覚にダメージを与える事で無力化を狙う。 しかし使用したのがSっぽく笑う分身だった事もあり 従来のガードスキルらしくない攻撃的な印象がある。 わかりやすくいうとアンプにつなげた黒板ひっかき。なんと、耳栓で無効化可能。 8、エンジェルズウィング とても美しい白い翼。まさに天使。発案者は音無で「かっちょいいから」との事。(音無マジGJ) はばたく事で着地の衝撃が和らげられるようだ。 +... 関連ページ 音無 結弦? 仲村 ゆり? 立華奏 ミオリ 関連画像 コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る キャラクター紹介?へ戻る|キャラクター紹介 【Angel Beats!】?へ戻る